Q51 結婚式をしない選択肢は無いの?
今年の秋に結婚式をする予定です。正直、入籍をするだけでも良いと思っていたのですが双方の親が希望するので準備を進めてきました。いまだに感染状況が落ち着かず、当初よりも規模を縮小することになりましたが、そうまでして結婚式をする意味はどこにあるのでしょうか。
結婚式に意味が必要?
結婚式というと、今までに列席したり見たりしたスタイルをイメージされてしまいがちです。
コロナ禍で結婚式といってもいろんなスタイルで行うように変化しています。それでも結婚式をしようと思うのは、結婚式をしたら意味を見出せるからだと思います。やってみなきゃわからないです。
親御さまから「結婚式はして欲しい」と言われたから。これは大きな意味がありますね。子供を一生懸命育てて、新しい世帯を持って行く子供を見送りたい、しあわせを願う、新しい親戚との出会いに感謝する。いろんな思い・意味があります。おふたりからしたら、こんなに素敵な親孝行は無いでしょう。
結婚式は誰のため、何のために行いますか?
「チャペルで挙式をして、ホテルのパーティ会場で披露宴をして皆さんにお披露目をするため」・「親を安心させるため」と答える人が多いと思います。なぜ入籍だけではなく「結婚式」をするのかをふたりで話をされたことはありますか?
日本ではキリスト教式・神前式・仏前式・人前式などセレモニーをおこなう「挙式」とウエディングパーティと呼ばれる「披露宴」のふたつを一緒にして、一般的に「結婚式」と呼んでいます。必ずしも2つを同時にしなくても良いのですが、まずは挙式をすることが大切です。真摯な気持ちでお互いがお互いに約束をするその誓いは、これから始まるふたりの生活のスタートとしてのけじめとなります。
いっぽう披露宴とは本来、おふたりが誓い合う挙式に立ち会う為に集まったゲストが、おふたりを祝いたいから宴(披露宴)になるのです。だからこそおふたりは、感謝とお礼を込めて「今後ともよろしくお願いいたします」という気持ちで挙式にお集まりいただいたゲストのために披露宴(食事会)のスタイルを考えましょう。
人生の節目は「竹の節」
おめでたいことに、松竹梅が使われます。その中でも「竹に象徴されることは」節があるから強風にも強くしなやかに折れずにまっすぐ成長します。人生によい節目をつくることにより、しなやかに、さらに上へと、竹のようにふたりで成長してほしい願いが込められています。
節目を例えるなら「人生で迎える式」になります。入学式、成人式、いろいろな節目がありますね。なかでも結婚式は特別な節目になります。自分の意志でタイミングを決められる貴重な式であり、内容もパートナーとふたりで一緒に決められる。そんな節目は一生に一度しかありません。
最近、事情によって結婚式ができていない花嫁さん達とお話をする機会がありました。皆さんがおっしゃるのは、結婚式ができなくても「新しい家族のスタートとしてけじめになるようなことをしたい。」「お互いに誓う挙式はしたい」という思いです。披露宴に友人を呼べるかどうかではなく、どんなスタイルでも結婚式には意味を見出せます。
いい夫婦になる為に大切な挙式
「この時期、友達も多くは呼べないし、結婚式はしなくてもいいわ」と思うかもしれません。友人がいないからという理由で挙式自体をやめてしまったら、彼とふたりできちんと誓わないまま物事を始めるあやふやさと、「挙げておけばよかった」という後悔だけが残るでしょう。
誓いの大切さだけではありません。自分が中心人物となり、親が絡んだり、親戚からご祝儀をいただいたり、皆さんに「おめでとう」と言葉をかけてもらうことで、人には自覚や覚悟のようなものが芽生えます。けじめのないスタートがふたりをいい夫婦にするだろうかと考えると、私にはどうしてもそうとは思えないのです。
挙式をしないまま10年経った友人の、むかし言った言葉が忘れられません。「こういうことで主人と言い争うのは挙式を挙げていないからなのかなと、日々の生活で生じる全然関係のない問題も、全部そこに結びつけて考えてしまう」と。そんな言葉が出るのは心のどこかに「やっぱり挙式をしておけばよかった」という後悔が残っているからだと思うのです。
さらに、挙式にはたくさんの気づきがあります。日常生活ではお互いに照れて言わないような言葉でも、挙式なら言えます。彼の笑顔、お母さまの涙、お父さまが緊張しながらヴァージンロ—ドを歩く姿、すべては家族の大切な思い出になります。そういうものが残る人生は意味があり、幸せだと思います。
イラスト tocco
\心に残る日を共に/
この方ににお聞きしました。安部トシ子さん
【プロフィール】1983年、南青山にウエディング・プロデュース会社㈱オフィース・マリアージュを設立。花嫁さんにとって結婚式が人生の宝物となるよう39年間サポートし続けているウエディング・プロデューサーの草分け的存在。各種講演やブライダル誌での監修や執筆など幅広く活躍。『25ansウエディング』では35年間花嫁の多様な質問、悩みに答えている。
《書籍紹介》
著書 「安部トシ子の結婚のバイブル」(発行 アシェット婦人画報社)、「いい結婚式ってなんだろう」(発行 エイジェイ出版)
監修「育ちが良いと思われる50の習慣」(発行 宝島社)、「大事なところをきちんと押さえる結婚の段取りとしきたり」(発行 マイナビ) 他