新郎母からのSomething Old

新郎母からのSomething Old
感動ストーリー100

挙式に携わる私達が目にした、感動レポートをご紹介します。全て実話です。

結婚式の伝統や風習には、古くからの言い伝えが数多くありますが、その中でも特に有名なものの一つが”Something Four”です。

“Something Four”とは、「Something Old, Something New, Something Borrowed, Something Blue(なにか古いもの、新しいもの、借りたもの、青いもの)」という4つのアイテムを花嫁が身に着けることで、幸せをもたらすとされるおまじないのことです。ヨーロッパやアメリカを中心に、古くから続くこの風習は、日本でも広がりを見せています。

この日、ご新郎ご新婦の結婚式でも、そんな”Something Four”にまつわる感動的な出来事がありました。

結婚式のリハーサルが無事に終わり、いよいよ本番を迎える直前のこと。控室で準備を整えていたご新婦の元に、ご新郎のお母様が静かに歩み寄ってこられました。少し緊張している様子のご新婦の手を優しく取り、ご新婦の手のひらにそっと何かを握らせたのです。

「なにか古いものって、幸せになるんでしょ?」と、お母様はご新婦に語りかけました。

ふと視線をスタッフにも向け、「ね、そうなんでしょ?」と微笑みながら確認されました。その言葉には、長い年月を経て受け継がれてきた家族の絆や、嫁いでくるご新婦に対する温かい気持ちが込められているように感じられました。

ご新婦が手のひらを開くと、そこには美しいアンティークの指輪がありました。見るからに大切にされてきたその指輪は、ご新郎家に代々受け継がれてきた家宝の一つでした。新しい世代へと繋がれてきたその指輪は、家族の歴史と伝統、そして幸せを象徴するものです。

ご新婦は驚きと感動の入り混じった表情を浮かべながら、そっとその指輪を右手の中指にはめてみました。不思議なことに、その指輪はまるでご新婦のために作られたかのようにぴったりと合っていました。

お母様は微笑みながら「この指輪をつけて、幸せになってね」と優しく声をかけ、ご新婦の手を握りしめました。この指輪こそが、”Something Old”、すなわち「なにか古いもの」の象徴であり、ご新婦の幸せを願う大切なアイテムとして贈られたものでした。

“Something Old”は、祖先から受け継がれてきた幸せや富、そして家族の伝統を表すものであり、結婚を機に新しい家族へと加わる花嫁が、その家族から大切に迎え入れられる証として贈られることが多いのです。

この日、ご新婦に贈られた指輪もまた、ただの物質的な価値を超えた、心温まる贈り物でした。それは、ご新郎のお母様だけでなく、ご新郎家全体がご新婦を心から家族として歓迎していることの象徴でもありました。結婚という新たなスタートを切る二人に、家族の絆が強く結びついていく様子を目の当たりにし、私も胸が熱くなりました。

式の進行が始まり、挙式会場へと向かう道すがら、ご新婦は右手の指輪を何度も確かめるように見つめていました。その指輪がもたらす安心感と、新しい家族に受け入れられる喜びが、その表情に溢れていました。

ご新郎家からの温かな気持ちに包まれたご新婦の姿は、何とも言えない幸福感に満ちていました。結婚式は二人の新しい人生の門出であると同時に、両家の絆が強く結ばれる場でもあります。この”Something Four”の伝統を通じて、ご新郎ご新婦の二人だけでなく、家族同士の結びつきが深まる瞬間に立ち会うことができ、私自身も大変感動しました。

チャペルディレクター 末木より

花嫁相談 編集部

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