ファーストミート
挙式に携わる私達が目にした、感動レポートをご紹介します。全て実話です。
欧米には「結婚式の前に新郎新婦が顔合わせると幸せになれない」という古いからの言い伝えがあります。それを知っていたご新婦は、打合せの際にこう話しました。 「私たちも、仕度が出来るまで会わないようにしたいのです」
その想いは非常に強く、結婚準備の段階から徹底されていました。ドレス選びの際も、ご新郎と一緒に行くという選択はせず、お母様と二人で行かれました。どのドレスにしたかもご新郎には内緒です。また、会場コーディネートの打ち合わせも、ご新郎にばれないよう工夫して行っていました。
そして迎えた結婚式当日。お互い別々のお部屋で支度を進めていた二人は、初めて対面する場所として選んだのが式場のチャペルでした。この場所で結婚式を行う前に、二人だけの特別な時間を過ごしたいとのことでした。
ご新郎は黒のタキシードに身を包み、ご新婦はロングスリーブのウェディングドレスをお召しになっていました。新郎が先にチャペルに入り、その後、新婦は扉の前で待機します。扉の前に立つご新婦の表情は、緊張しながらも喜びに満ちていました。そして、扉が開き、ご新婦は新郎の肩を優しくポンポンと叩きました。
新郎新婦の初対面の瞬間、その場は驚きと喜びで包まれました。ご新郎は少し照れくさそうに笑みを浮かべ、ご新婦の姿を見つめます。お互いの姿を見ることで、これまでの準備の苦労が一気に報われたような、そんな瞬間でした。
そして、ご新婦からご新郎へサプライズの手紙が手渡されました。その手紙には、二人が出会った頃の思い出や、これまでの感謝の気持ちが綴られていました。ご新郎が手紙を読み進めるうちに、その目には涙が浮かびます。懐かしい思い出が次々と蘇り、胸がいっぱいになったのでしょう。涙をこらえきれず、ご新婦もつられて涙を流しました。
式を前にして、二人が手紙を通じてお互いの想いを伝える時間を持てたことは、とても素敵な瞬間でした。その時間は、二人の気持ちをより強くし、結婚式に臨む心構えを整える特別なものとなったことと思います。
チャペルディレクター 川上より