Q11 妊娠がきっかけで結婚することに不安

彼と付き合い始めて、もう2年になります。これまで具体的に結婚の話が出たことはありませんでしたが、先日、妊娠したことがわかりました。それを彼に報告したところ、「じゃあ結婚しようか」と言われました。「じゃあ」って、どういうことでしょうか。私が妊娠したから仕方なく結婚するのかと思いましたが、何だか聞けず、モヤモヤして結婚式の準備に向き合えません。

マタニティー・ウエディングは、今や決して珍しいものではなくなりました。では、なぜこれほどまでに増えているのでしょうか。
今は男女平等が当たり前となり、総合職であればお給料も同じ。女性が男性よりも上の役職に就くことも、もはや特別なことではありません。昭和の流行語に「黙って俺についてこい」という言葉がありましたが、今はそんな価値観が通用する時代ではなくなっています。
一方で、男性は結婚に対して、必要以上に責任を感じてしまう傾向があります。これは実際にあった話ですが、彼女のお母さまが何気なく言った「娘を幸せにしてやってくださいね」というひとことを重く受け止め、「そこまでの約束はできないかもしれない。本当に結婚していいんだろうか」とマリッジブルーになってしまった男性もいました。それほど、今どきの男性は真面目で、純粋なのです。
けれど本来、幸せというものは、どちらかが一方に「してあげる」ものでも、「してもらう」ものでもありません。ふたりでなるもの、ふたりでつくっていくものです。その認識を、ぜひお互いに共有してください。
男性は「家庭を守らなければ」「男はこうあるべきだ」と、ひとりで責任を背負い込みがちです。その結果、結婚したい気持ちはあっても、自分からプロポーズができなくなってしまうことがあります。それでも彼女のことは愛しているから、関係は続き、ステディな関係になる。そうすれば、子どもを授かることもあるでしょう。
そこで初めて、その「事実」が、男性にとっての大きな決意のひとつになります。「だったら、ちゃんと式を挙げよう」と言葉にできるようになるのです。
子どもができたから仕方なく結婚する、というわけでは決してありません。そこを疑ったり、責めたりするのは、本末転倒です。彼とステディな関係を選んだのは、あなた自身の意思でもあります。「この子が、お祝いに来てくれて、ふたりの背中をそっと押してくれた」と前向きに受け止めることができれば、出産もより楽しみに待つことができるはずです。
ここで悩み続け、マイナスに考えてしまうと、これからの出来事すべてを否定的に捉えてしまいかねません。何より、生まれてくる子どもにとって、それはとても悲しいことです。
シャイな男性は、結婚できる嬉しさや、パパになる喜びを、女性が思っている以上に表現するのが苦手です。けれど、心の中ではきっと、ドキドキとワクワクが入り混じっているはず。
どうかマイナスに捉えず、「この子の誕生を、笑顔で待ってあげるべきなのは誰だろう?」と考えてみてください。すべてを「こうしたら楽しいね」「だから私たちは幸せだね」と、ハッピーな方向に言葉を変えていくこと。その小さな意識の切り替えが、これから始まる家族の時間を、よりあたたかいものにしてくれます。
イラスト tocco
\おふたりの幸せをしっかりサポート/
この方にお聞きしました。安部トシ子さん

【プロフィール】1983年、南青山にウエディング・プロデュース会社㈱オフィース・マリアージュを設立。花嫁さんにとって結婚式が人生の宝物となるよう39年間サポートし続けているウエディング・プロデューサーの草分け的存在。各種講演やブライダル誌での監修や執筆など幅広く活躍。『25ansウエディング』では35年間花嫁の多様な質問、悩みに答えている。
《書籍紹介》
著書 「安部トシ子の結婚のバイブル」(発行 アシェット婦人画報社)、「いい結婚式ってなんだろう」(発行 エイジェイ出版)
監修「育ちが良いと思われる50の習慣」(発行 宝島社)、「大事なところをきちんと押さえる結婚の段取りとしきたり」(発行 マイナビ) 他


















