父と共に歩むバージンロード

父と共に歩むバージンロード
感動ストーリー100

挙式に携わる私達が目にした、感動レポートをご紹介します。全て実話です。

長いバージンロード、その始まりの場所には緊張した面持ちで立つご新婦のお父様の姿がありました。

ご新婦は、お父様と共にチャペルの扉の前に立ち、これから始まる人生の新たな章に向かって歩みを進める時を迎えていました。お父様は緊張で顔が少し強張り、普段とは異なる静かな雰囲気を漂わせていました。いつもはもう少しおしゃべりな父が、今日は言葉少なにただ娘の手を握りしめていました。

「お父さん、大丈夫だよ。ゆっくり歩いていこうね。」

ご新婦は優しく微笑み、お父様に声をかけました。その言葉にお父様は少しだけ緊張が和らいだのか、微かにうなずきました。娘からの優しい声掛けが、お父様の緊張を少しほぐしたようでした。

扉が開き、壮大なチャペルの空間に穏やかな音楽が流れ始めると、いよいよバージンロードの歩みが始まります。お母様が静かに近づき、愛情込めてベールダウンを行いました。娘の顔にベールを下ろすその手には、これまで大切に育ててきた娘を送り出す覚悟と愛情が込められているのが伝わってきました。

お母様のベールダウンを見届けたお父様は、そっと娘の手を引き、一歩ずつバージンロードを進み始めました。その道は、単なるチャペルの通路ではなく、娘と父が共に歩んできたこれまでの道のりを象徴しているように感じられました。お父様の緊張した横顔には、これまでの思い出が次々と浮かんでいるのかもしれません。

娘が生まれた日、初めての一歩を踏み出した時、入学式、そして成人式。お父様にとって、そのすべてがこの瞬間に集約されているかのようでした。

一方で、ご新婦は緊張と楽しみに満ちた表情を浮かべ、優しく父の腕をつかみながら、堂々と一歩一歩を進んでいきました。お父様の歩みが少しぎこちなくなった時には、「お父さん、ゆっくりでいいよ」と再び声をかけ、父娘の間に柔らかな笑顔が交わされました。会場のゲストたちは、その姿を見守りながら、親子の深い絆と愛情を感じ、温かな空気がチャペル全体に広がっていきました。

そして、ご新郎のもとまで歩くと、お父様はご新郎の目をしっかりと見つめながら、「娘をよろしくお願いします」と。その声は少し震えていましたが、その中には深い愛情と、娘の幸せを心から願う気持ちが込められているようでした。

バージンロードを共に歩いたこの瞬間は、親子にとって一生忘れられない特別な時間となったことと思います。お父様の流した涙には、これまでのすべての思い出と、これからの新しい未来への祈りが込められていたのです。その涙は、言葉以上に多くのことを語り、会場にいるすべての人々の胸に深い感動を与えてました。

チャペルディレクター  川上より

花嫁相談 編集部

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