震災に寄り添う祈りの結婚式

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家族婚

挙式に携わる私達が目にした、感動レポートをご紹介します。全て実話です。

東日本大震災が発生した当時、遠く離れた場所に住んでいた私も、テレビで流れる映像に心を痛めていました。家を失い、日常が一瞬で奪われた方々の姿は、どんなに離れていても心に刺さるものでした。そのような中、東京で結婚式を控えたおふたりが、ある悩みを抱えていらっしゃいました。

「遠く離れた場所とはいえ、こんな大変な時に、自分たちが結婚式を挙げて良いのだろうか。」おふたりのその思いは、私たちスタッフにも強く伝わってきました。結婚式の準備を進める中、ご新婦が牧師先生に相談されました。「私たちは何もできない。今の私にできることは何だろうか。それすらもわからない。でも、せめて結婚式の場で、皆さんと一緒に祈りを捧げることはできないでしょうか。」

そのお願いに、牧師先生は静かにうなずかれました。そして、結婚式当日、式の始まりに牧師先生の祈りの言葉が会場に響き渡りました。「今日は愛を誓い合う特別な日ですが、同時に震災で苦しんでいる方々に心を寄せましょう。」と。おふたりの手は固く結ばれ、ご参列の皆様、そして私たちスタッフも一緒になって、被災された方々に向けて祈りを捧げました。その瞬間、会場全体が一つの心になり、言葉にできない温かさと静かな一体感が広がっていくのを感じました。

おふたりは、ただ自分達の幸せを願うだけでなく、どこかで苦しんでいる人々にも思いを馳せることを忘れませんでした。ご新郎ご新婦の姿勢は、私たちにとっても大きな学びとなりました。遠く離れた場所からでも、心を寄せることはできる。おふたりから学んだ祈りの時間は、結婚式という枠を超え、人と人の絆を感じさせる瞬間となりました。

結婚式が終わり、おふたりとお話ができました。ご新婦は「こんな時だからこそ、私たちが祈りを届けることが大切だと思いました」と話してくださいました。ご新郎も「人と人がつながること、思いやること、それこそが今の私たちにできることだと思います」と静かに語られました。その言葉は、会場の誰もが忘れることのない大切なメッセージとなりました。

遠く離れた場所の震災に対して、おふたりは自分たちにできる精一杯のことを見つけ、祈りを通して誰かの心に寄り添う姿を見せてくれました。その心の温かさが、結婚式の一瞬一瞬をさらに特別なものにしてくれました。

チャペルディレクター 田中より

花嫁相談 編集部

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