娘の晴れ姿が日々のチカラに

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感動ストーリー100

挙式に携わる私達が目にした、感動レポートをご紹介します。全て実話です。

挙式の打ち合わせの際、ご新婦から私たちにとても大切な相談がありました。「父に入場のエスコートをお願いしたいんですが、現在病気で入院していて、結婚式に来られないかもしれません。来られたとしてもストレッチャーになると思うんです。それでも一緒に入場できる方法はありますか?」ご新婦の目には、父親との大切な瞬間を叶えたいという強い想いが滲んでいました。私たちは会場のスタッフと話し合い、お父様がどのような状態でも一緒に入場できる方法を模索することにしました。ストレッチャーでのエスコートの可能性を考えながらも、まずはどのようにお父様の負担を軽減できるか、その方法を一つずつ検討していきました。

数週間後、ご新婦から連絡が入りました。「お父さんが結婚式を目標にしてとても元気になってきているんです!」という嬉しい報告でした。ご新婦の言葉から、ただの目標ではなく、お父様にとっての生きがいとなった結婚式への想いが伝わってきました。お医者様に相談しながら、前向きに治療を続け、食事をしっかりとり、リハビリに励むお父様の姿が目に浮かびました。お父様にとって、ご新婦の結婚式は単なるイベントではなく、「娘の晴れ姿を見届けたい」という強い意志が支えとなり、日々のチカラになっていたのだと思います。

そして迎えた結婚式当日。スタッフ一同、胸が高鳴る中、お父様がいらっしゃるのを待ちました。登場されたのは、ストレッチャーではなく、モーニング姿で車椅子に乗ったお父様でした。その姿はまさに晴れの日に相応しく、お父様の決意と頑張りが伝わるものでした。ご新婦はその姿を見た瞬間、弾けるような笑顔で「今日は泣かないんです!」と嬉しそうに話されました。その笑顔には、お父様と共にこの日を迎えられた喜びと、感謝の気持ちが詰まっていました。

入場の時、お父様はお兄様に車椅子を押していただきながら、ご新婦のエスコート役を務められました。お父様の手はご新婦の手をしっかりと握りしめ、その手から伝わる温かさがご新婦の心に深く刻まれました。車椅子でのエスコートという形ではありましたが、その姿には父親としての誇りと愛情が溢れ、ご新婦の隣で力強く寄り添っているようでした。ご新婦もまた、父の手のぬくもりを感じながら、「お父さんと一緒に入場できる」というその瞬間を心から楽しんでいました。

入場を見守るゲストの目には、感動と祝福の涙が浮かんでいました。お父様の車椅子を押すお兄様も、妹を支える大切な役割を果たしながら、その姿に誇りを感じている様子が見て取れました。お父様が結婚式という大きな目標を持ち、日々前向きに取り組まれたことが、こうして実を結んだ瞬間。病と闘いながらも、娘をエスコートするためにここまで頑張ったお父様の姿勢は、ゲスト全員の心を打ちました。

式が進む中、お父様は何度もご新婦を優しく見つめ、その視線には「ここまで来られてよかった」という想いが溢れていました。ご新婦もまた、その視線に応えるように何度もお父様に微笑みかけ、感謝の気持ちを伝えていました。お父様にとっても、ご新婦にとっても、この日は人生の大切な瞬間が刻まれる特別な一日となりました。

結婚式はおふたりの新たな始まりであると同時に、家族の絆がさらに深まる時間です。お父様の頑張りに応える形でのエスコートが実現できたことは、私たちスタッフにとっても大きな喜びでした。ご新婦とお父様が一緒に歩まれたこの瞬間は、これからもずっと心に残る、忘れられない思い出となると思いました。

チャペルディレクター 甲斐より

花嫁相談 編集部

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