おたんじょうび、おめでとう

感動ストーリー100

挙式に携わる私達が目にした、感動レポートをご紹介します。全て実話です。

その日、結婚式の大事な役割を任されたのは、蝶ネクタイをした5歳のかわいいリングボーイ。ご新郎ご新婦の大切な指輪を運ぶ大役に、彼はおうちでいっぱい練習してきた様子でした。ママに手を引かれながら、リハーサルでも堂々と登場。「大丈夫かな?」と少し心配そうに見守るご新郎ご新婦に対しても、彼は自信満々。リハーサル中、リングピローをご新郎に手渡す場面で、ママに「なんて言うの?」と促されると、彼は顔を輝かせて、とっても大きな声でこう叫んだのです。

「おたんじょうび、おめでとう!!」

その瞬間、会場にいた全員、驚きと笑いに包まれました。もちろん、彼にとって「おめでとう!」と言えば「おたんじょうび、おめでとう!」が定番ですよね。リハーサルの段階でその可愛さに一同がほっこりし、微笑ましい空気に包まれました。

しかし、本番は別。ご新郎ご新婦もご家族も、「ちゃんと『おめでとう』だけを言えるかな?」と、少しだけ心配していました。特にママは本番直前、しっかりと彼に念押しします。「今日は『おたんじょうび』じゃなくて、『おめでとう』だよ!分かった?」と。彼は大きくうなずき、その表情は真剣そのもの。今度こそ大丈夫と皆が思いました。

そして、いよいよ本番の時。かわいいリングボーイは、堂々とした歩みでバージンロードを進みます。指輪を乗せたリングピローをしっかり持って、きちんとご新郎の前に立ち、みんなの視線が注がれます。ご新郎の顔にも少し緊張が見られる中、リングボーイは力強い声で、しっかりとピローを差し出しました。そして、その瞬間。

「おたんじょうび、おめでとう!!」

再びそのかわいらしい声が響き渡り、会場は笑いと拍手に包まれました。ご新郎ご新婦も思わず顔を見合わせて笑顔に。そして、誰もがその純粋な頑張りに「かわいいなぁ」とほっこりした気持ちでいっぱいになりました。練習の甲斐もあり、一生懸命に役目を果たそうとする姿は、なんとも愛らしいものです。

リングボーイにとっての「おめでとう!」は、やっぱり「おたんじょうび、おめでとう!」でした。でもその一生懸命な姿が会場中の心を和ませ、思わず笑顔が溢れました。ご新郎も「ありがとう!最高の『おめでとう』だったよ!」と優しく彼に声をかけると、彼は少し照れながらも得意げに胸を張っていました。

式が終わった後、リングボーイのママは「やっぱり言っちゃったね」と苦笑いをしながらも、「でも、きっとこの結婚式で一番印象に残る『おめでとう』になったね」と微笑みます。確かに、彼の可愛らしい「おたんじょうび、おめでとう!」は、今日の結婚式をより特別なものにしてくれました。大人にはちょっぴり予想外な一言だったかもしれませんが、その素直で無邪気な言葉に、みんなの心が温かくなったのでした。

チャペルディレクター 末木より

花嫁相談 編集部

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