Q3 神前式の作法や意味がわからない

神前挙式をする新郎新婦
しきたり・マナー

両親の強い希望もあり、親族だけでも神社で式を挙げることになりました。コロナ禍の影響で諦めようかと思っいたけれど両親の後押しも嬉しいので挙げることに。いざ神社を探そうとしたら、いろいろな作法や三三九度などの意味もよくわからないし、言われるままに形式に則った式をしても感動できないような気がして悩みます。どの神社を選べばよいのかさえ分からず、困っています。

神社選びに迷ったら

神社の選び方ですが、難しく考えなくて良いのです。お付き合いされてる時に初詣などで一緒に行った神社や、幼い頃にお宮参りや七五三でお世話になった縁のある神社で。祀(まつ)られている神さまが縁結びで有名だからなど、自分たちの気持ちが向く場所を選んでください。結婚式を挙げた後も人生の通過儀礼(子宝祈願や宮参り、七五三など)でまたご縁が繋がるふたりの記念の場所になります。

中には、披露宴(食事会)をされる場所の近くで、または旅行先で伺った思い出の神社まで家族旅行を兼ねて出向いたり、親ご様結婚式をされた同じ神社にしようと選ぶことも素敵です。神社は何百年とその地を守りこの先もずっとその場にあり続けて見守ってくれます。
何かご縁があった年ごとに、必要な時に尋ねられる場所です。どんな神さまが祀られているのかを知って挙式を迎えてください。より思い出深いものになります。

白無垢に綿帽子姿じゃないと駄目なの?

神前挙式だと白無垢に綿帽子を被る花嫁姿をイメージされます。または色打掛、引き振袖など和装で衣装選びされると思います。神社によっては服装が定められているところもありますが、ほとんどの社は指定されません。洋装で衣裳選びされる際はシルク生地で肌の露出は少ないもので選ばれると格式が整います。スーツにワンピースで行うことも出来ますので遠慮なく神社担当の方にご確認ください。

知っておきたい「花嫁和装の小物」

花嫁和装には5つの小物を身に着けてお嫁入りされます。「筥迫(はこせこ)」胸元に収めるいわゆる化粧ポーチがあります。それに紅や鏡、薬など入れて馬の背にゆられ嫁入りされました。扇子は「末広」といい、末広がりに栄える縁起物を意味します。帯に差した懐剣は守り刀として身につけます。このように、小物ひとつでもその意味や理由を知れば愛おしくなり、結婚式へ望む気持ちが整うのではないでしょうか。

花嫁5点セット

・懐剣(かいけん) :守り刀を納めて
・筥迫(はこせこ):紅や鏡を納める小物入れ
・末広(すえひろ):金銀の扇子
・抱帯(かかえおび):腰の位置に結び
・帯締め(帯締め):帯の中心要となる
※諸説ありますが意味があって身につける品です。

作法は意味合いを知ると所作を間違えない

挙式のなかでの作法にしても意味を知ることが大切です。指輪の交換などは最初からあったものではなく、時代に応じて加えられたものです。式次第にある神饌や祝詞奏上などはじめて見聞きする神事が多いでしょう。「三三九度」や「玉串奉奠」は「そういうものだから」という意識だけで終わらせるのではなく、なぜするのかを知っていると神前式が深く理解できます。

例えば、「夫婦誓いの盃」三三九度の意味合いには、下から大杯、中杯、小杯となっています。最初に飲む小杯は未来の杯。ここからふたりの未来がスタートするのでまずは小さい杯で自分たちの未来を願います。つぎに飲む中杯は現在のふたり。今の自分たちのサイズは未来を迎えるにあたり、1つ目の杯よりは少し大きいでしょう。けれど、いちばん大きいのは3つめの過去の杯です。ここには親ごさんとのご縁だったり、色々な思い出がありますので、感謝しながら飲んでください。

「3」は縁起良い数字

一つの杯に対して、銚子を三度傾け三度目にお神酒が注がれます。おふたりが飲む際にも同じように杯を三度傾け、三度目に飲みます。何度も動きのなかに「3」が現れます。結婚式では縁起良い数字として奇数(偶数だと割り切れてしまうため)を重ねます。行き来することで結びが強くなるとも言われ丁寧に何度も盃を酌み交わし、ふたりを結びつけるんです。

玉串奉奠(たまぐしほうてん)の所作

もうひとつ、おふたりだけでなくご親族代表も行う玉串奉奠。「間違えないようにしよう!」所作を覚えるのに一生懸命になりすぎて、神さまと繋がる大切な瞬間を逃さないでください。玉串とは榊の枝に紙垂(しで)をつけたものです。自分の心を願いを神さまに捧げる儀式です。玉串奉奠の一連の作法のなかで最も大切なのは、玉串をまっすぐに立ておふたりで祈念すること。魂(霊魂)は立った木の先端に宿るからです。祈念したら、物を差し上げるときと同じように、神さまへ玉串を正面になるように(枝側が神殿に向いて)捧げます。事前におふたりで一緒に願いを決めて迎えてください。心を込めて丁寧に行いましょう。

いずれにしてもいちばん大切なのは気持ちの部分、神さまとの「約束」です。「私たちは幸せな家庭を築いてまいります。神さまのご加護がいただけますように。どうぞ私たちを見守ってください」という約束がもっとも大切ですね。

イラスト tocco

この方にお聞きしました。小谷 由美子

小谷由美子

【プロフィール】石川県加賀市出身、㈱カーロカーラ代表、婚礼屋
武家婚礼文化を大切に継承する結婚式を伝えながらトレンドを常に作りだすうプロデューサー。東京との二拠点でカップルの専属プランナーとして結婚準備のサポートも行う。

著書 結婚すると決めたら WAVE出版 
運営サイト・ゲストと旅する 温泉ウエディング 、・カップル実例掲載数業界1の オリジナルウエディングつくりweco 、・ふたりの誓いが結婚式 ふたりの思い出つくりソラマリ など

花嫁相談 編集部

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