キリスト教挙式と人前挙式、どっちの挙式にする?挙式サポートのプロ「チャペルアテンダー」に聞いてみました!

花嫁入場シーンアテンド
インタビュー

チャペルアテンダーというお仕事があるのは知らなくても、チャペルの挙式にご列席された経験があるかたは、花嫁さんのそばにいるスタッフをご覧になったことがあると思います。花嫁さんのそばにいるからこそ知っていることやプレ花嫁さんへのアドバイスを、株式会社オフィース・マリアージュ、チャペルアテンダーの末木 恵さんに聞きました!

寺谷プランナー チャペルアテンダーのお仕事をわかりやすく教えてください
末木さん 「付き添い・世話」を意味する「アテンダント」(attendant)が語源。チャペルでは花嫁さんのそばで、付き添いお世話をします。具体的にはリハーサルの進行や、ウエディングドレスを見に纏った時の美しい所作、慣れないドレスでの歩き方のポイントをお伝えします。式中はドレスの裾を整えたり、ブーケを預かったりします。感極まって涙を流す花嫁にそっとティッシュを渡したり、黒子になって花嫁さんに安心してお式に臨んでいただけるよう、サポートします。

寺谷プランナー 主に花嫁さんのサポートということですか?
末木さん 一般的に花嫁さんが主役と思われがちなのですが、花嫁さんを美しくすることでお母様やお父様が、大切に育ててきた娘が幸せに輝いている姿を見て、嬉しく思ってくださればと思いアテンドさせていただいています。もちろん花婿さんの立ち方やグローブの持ち方や、ズボンの裾が靴に入り込んでいないかなども目配りしています。

寺谷プランナー 親御様が花嫁さんを見る気持ちまで考えていらっしゃるのですね。
末木さん  20年以上前からこの仕事に携わり、その間に自身の結婚・出産を経て親御様の気持ちも理解できるようになったのかもしれません。
そして意外にお父様のお仕度が整っていないことがあります。お母様は留袖を着つけてもらってヘアやメイクも依頼しているけれど、お父様は大抵ご自身で着られます。お仕事柄スーツをお召しになっていればそんなに難しくはないかもしれないのですが、そうではないかたはネクタイを結ぶのも難しかったりします。なのでネクタイやシャツの袖の長さ、ベストのボタンにかけ間違いはないかなども、さりげなく目視で確認し直して差し上げています。

キリスト教式牧師先生とアテンダー

キリスト挙式と人前式

寺谷プランナー 挙式のプロの末木さんにズバリお伺いします。キリスト教式と人前式、会場探しをする際に挙式のスタイルは決められていないというカップルさんが多くいらっしゃいます。この2つの挙式の違いを教えてください。
末木さん まずはそれぞれの趣旨を理解されるといいかと思います。ポイントはおふたりの「結婚の誓いをどのように立てたいのか」ということです。

◇キリスト教式:一般的にホテルや結婚式場ではプロテスタントのお式。牧師先生は聖書の言葉を通して、おふたりへのメッセージをお話しくださいます。信者ではない方にも分かりやすいように、噛み砕いてお話しくださるので、厳粛過ぎるということはなく、温かくおふたりをお迎えくださいます。おふたりは牧師先生を介して神様の前でそれぞれに誓いを立てます。
◇人前式:日本で昔からおこなわれていた、家で誓いや盃事(盃を交わすこと)をする「家婚式」がルーツと言われています。おふたりが日ごろお世話になっている方々、親しくされているご友人の前で、おふたりの言葉で結婚の誓いを立て、皆様に承認していただくスタイル。お互いだけでなく、お互いの家族や親族、友人、皆様との絆を深め、その絆を再認識できる貴重な体験ができると思います。

以前担当をした花嫁さんはロングトレーンの美しいドレスに憧れていらしたので挙式の間中、後ろ姿を見ていただきたいという理由で、ゲストの皆様にお顔を向ける人前式ではなく後姿を見ていただけるキリスト教式にされました。お互いの誓いをしっかりとできるのであれば、そういった理由でも良いのではないかと思います。

寺谷プランナー 「どちらでも良い」ではなくどのように誓いを立てたいかを相談すればおふたりの結婚式のスタイルがより明確になりますね。

花嫁母ベールダウン

ベールダウンとジャケットセレモニー

寺谷プランナー 最近は親御様の登場場面が多くなっているような気がします。実際にはどうですか?

末木さん そうですね、花嫁さんのエスコートをお父様がおこなうことは昔からあることですが、挙式に入られる前に花嫁さんのお仕度の仕上げとしてベールダウンをする、また最近は花婿さんにお母様がジャケットを着せるジャケットセレモニーも増えてきました。
実はベールダウンもジャケットセレモニーも宗教儀式ではなく演出です。ベールダウンのはじまりは、挙式を終えられた花嫁さんから「緊張しすぎて、ほとんど覚えていないのですが、入場直前にお母さんが何気なくベールをおろしながら、『一緒に歩くお父さんをよろしくね』と言った時にベール越しに見えたお母さんの顔だけはしっかりと覚えています。」と聞いたことにあったとのこと。
今ではチャペルに入ったところでゲストの皆さんの前でおこなうことが多いのですがゲストの前だからこそ失敗してはいけない、間違えてはいけないという思いが強く、お母様が緊張されて動作だけに集中している気がします。そうではなく、娘と今まで過ごした時間を思い出しながらベールをさげ綺麗にお仕度を整える、母と娘だけのかけがえのない時間にしていただきたいと思っています。

花婿さんのジャケットセレモニーも同じ。花嫁の親御様だけではなく花婿の親御様にもスポットがあたるようにということから増えてきているようですが、演出としてではなく幼稚園、小学校、中学校時代の息子を思い出し、同じように「いってらっしゃい、頑張って」というお気持ちを込めて背中をポンポンとたたくお母様の仕草は、とても自然でぐっとくるものがあります。

寺谷プランナー このタイミングでこうしなくては、という「動作」ではなく気持ちで動いていただけるようにご説明をするということですね。末木さんのお話をきいていると、チャペルアテンダーのお仕事が本当に好きなんだと伝わってきます。やりがいを感じたエピソードを教えてください。

末木さん キリスト教式のアテンダーとして花嫁さんの傍にいたとき、とても緊張をされてこのままだと過呼吸になってしまうのではないかと思うほど震えていらっしゃるときがありました。ブーケを預かりに行くタイミングで、花嫁さんの手に自分の手を重ね「一緒に深呼吸をしましょう」と小さな声でお伝えしたら、スーっと落ち着いていただくことができました。そんなときに黒子として花嫁さんを支えられたのではないかとやりがいを感じます。

新郎と新婦を見守る親

挙式についてのアドバイス

寺谷プランナー 最後に挙式をひかえているカップルさんにアドバイスはありますか?

末木さん  挙式とは、おふたりが夫婦として新しい人生をスタートするそのときに、それまでおふたりを支えてきてくださった皆様にその決意を伝え、感謝の気持ちを伝えられるとても大切な機会です。おふたりのことを大切に思って時間を割いてお集まりくださる親御様、ご家族、ご友人が一同に介することはこの先ないことです。でも、おふたりの挙式を機に、おふたりを中心に皆様同士に新しい繋がりが生まれる可能性も秘めています。まずは、おふたりが感謝のお気持ちを心から伝えたいのは誰なのか、そしてそれをどのように伝えたいのか、夫婦となるおふたりをこの先もずっと支え、応援してくださる皆様はどうしたらおふたりのスタートラインを安心して見守ってくださり、喜んでくださるのか。

カタチや演出の相談する前におふたりのお気持ちを確かめ合う時間を取られることが準備の第一段階かと思います。

そして当日は本当にあっという間に過ぎてしまいます。来館されお支度が始まったら、そこから信じられないくらい幸せな時間は、信じられないくらい一瞬です。「挙式をして良かった!」「もう一度、挙式をしたい!」と思われると思います。ぜひ、心にゆとりを持ってどんな瞬間も心から楽しんでいただきたいと思います。おふたりの笑顔はお祝いに駆けつけてくださった皆様への最高のおもてなしです。笑顔のおふたりを見たら、それぞれのご家族、ご友人は「娘(親友)をこんなステキな笑顔にしてくれる、この人になら私の大切な娘を(親友を)任せられる」と心から祝福し、喜んでくださると思います。だからこそ挙式の間は、すべてをチャペルアテンダーの私たちにどーんと任せ、身を委ねてください!語弊を恐れず保身ではなく言わせていただけるなら、細かなことは気にせず、とにかくすべての瞬間を楽しむことに集中していただきたいと思います。

取材を終えて
「アテンダー(付き添って・お世話をする)」の言葉通り、挙式をするおふたりの為にすぐそばで黒子に徹し、おふたりや親御さまにアテンダーからお伝えするたった一言が、挙式の感動の瞬間に繋がるのだと思いました。

笑顔のアテンダー

このかたにお話を伺いました。

「ふたりの誓約を大切にした結婚式をつくる」株式会社オフィース・マリアージュ
チャペルアテンダー 末木 恵さん

花嫁相談 編集部

花嫁相談 編集部 現役プランナーで構成する花嫁相談編集部。結婚準備を楽しく悩みの解決に役立てていただける記事を配信しています。 ここに無い質問やご相談はお気...

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