心からの祝福

心からの祝福
感動ストーリー100

挙式に携わる私達が目にした、感動レポートをご紹介します。全て実話です。

挙式の最初に行われるのは、バージンロードをエスコートしたご新婦のお父様による祝福の確認。このセレモニーは、花嫁を送り出すお父様がご新郎とご新婦の結婚を心から祝福する意思を示す、大切な儀式です。

リハーサルの時、ご新婦のお父様は少し緊張しながらも明るい表情を見せていました。牧師先生が「おふたりの結婚を心より祝福なさいますか?」という問い掛けに対し、「よろしければ『はい、祝福します』とお答えください。『はい』だけでも大丈夫です」と説明すると、お父様は照れ笑いを浮かべてこう返したのです。「もし娘を渡したくなかったら『いいえ』と言えばいいですか?」と。

その場にいた全員が、思わず笑いに包まれました。牧師先生も優しく微笑みながら、「本当にそう思っていらっしゃいますか?」とお返ししました。お父様は大きく笑いながら、「まあ、冗談ですよ!」と軽やかに場を和ませます。そんなお父様のコミカルなやりとりは、ご新婦の緊張をほぐすのに十分なものでした。

そしていよいよ本番。お父様の背筋はピンと伸び、リハーサルとは打って変わって真剣な表情でご新婦を見つめます。バージンロードを共に歩んだその後、牧師先生からの問いが静かに響きます。「おふたりの結婚を心より祝福なさいますか?」

その瞬間、ご新婦のお父様は一呼吸置き、胸を張って堂々とした声で答えました。

「はい。”心の底から”祝福します!」

その力強い声は会場全体に響き渡り、ご新郎ご新婦を見守る全員の心に深く届きました。リハーサルの時のコミカルなやり取りとは裏腹に、お父様の言葉には揺るぎない真剣な気持ちがこもっていたのです。

お父様にとって、娘を送り出すことは喜びと少しの寂しさが交じり合う特別な瞬間。ユーモアあふれるお父様だからこそ、緊張の中で笑いを忘れずにいられたのでしょう。それでも、いざその瞬間が来ると、真剣な表情と共に、娘への深い愛情を見せたのです。

ご新婦も、ご新郎も、そして会場にいる全ての人が、お父様の言葉を聞いて胸が熱くなりました。その一言に込められたのは、娘の幸せを心から願う気持ち、そして彼女を送り出す覚悟でした。笑いに満ちたリハーサルとは対照的に、本番ではその言葉が持つ重みがひしひしと感じられたのです。

チャペルディレクター 末木より

花嫁相談 編集部

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