母と息子、そして新たな家族

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感動ストーリー100

挙式に携わる私達が目にした、感動レポートをご紹介します。全て実話です。

澄んだ秋空の下、挙式会場には、温かい期待感がゆっくりと広がっていました。この日、ご新婦は再婚の結婚式を迎えます。彼女には、大切な存在がいました。高校生の息子さんです。少したって、息子さんが会場に現れた瞬間、少し恥ずかしそうな表情がとても印象的でした。初対面でしたが、しっかりとした挨拶をしてくださり、誠実な姿に思わず笑顔がこぼれました。

今日、彼にはとても大切な役目がありました。母であるご新婦をエスコートし、一緒にバージンロードを歩くという役目です。リハーサルの時間、息子さんはスタッフの説明を一つ一つ丁寧に聞き、母と腕を組んで歩く練習を始めました。お二人ともどこか照れた様子でしたが、その歩みには、長い年月を共に歩んできた親子の深い絆が感じられました。久しぶりに息子さんと腕を組んで歩くご新婦様の笑顔は、控えめながらも、心の底からあふれ出る喜びに包まれていました。

そして迎えた挙式本番。開いた扉の向こうから、息子さんにエスコートされたご新婦様が姿を現しました。息子さんの堂々とした姿は、リハーサル時の照れた様子はすっかり消え、しっかりとした足取りで母をリードしていらっしゃいました。その一歩一歩には、これまでの母との日々、そしてこれから始まる新しい生活への感謝と決意が込められているように感じました。

息子さんにとって、今日のエスコートという役目は、母への感謝と、彼自身が母の再婚に対して抱く深い理解と祝福の表れと感じました。お二人の姿を見守るゲストの皆さまの胸にも、自然と温かいものがこみ上げてきた様子でした。バージンロードの途中、ご新郎が待つ場所へと近づき、いよいよ母を託す瞬間が訪れました。息子さんは優しくご新婦の腕をご新郎に渡し、役目を終えられました。

通常であれば、ここで息子さんは新婦側の席に戻るはずですが、彼が向かったのは、新郎側の席でした。一番前の席に腰を下ろす姿を見たとき、会場全体がさらに温かな雰囲気に包まれました。

その光景は、母親とご新郎、そして息子さんとの間に新しく生まれた家族の絆を象徴するものでした。息子さんが新郎側の席に座られたことは、ご新郎との間に築かれた信頼と絆を表し、母の再婚を心から祝福する姿でした。ご新郎もまた、息子さんを家族として迎え入れる愛情と覚悟を示していたのだと思います。 ご新郎新ご婦の誓いの言葉が交わされ、挙式が無事に幕を閉じた瞬間、会場には大きな拍手が響きました。その拍手は、ふたりの愛だけでなく、新しい家族としての絆にも向けられたものでした。

チャペルディレクター 甲斐より

花嫁相談 編集部

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