諦めなかった誓いの瞬間

感動ストーリー100

挙式に携わる私達が目にした、感動レポートをご紹介します。全て実話です。

直前の事故によりご新郎が重篤な状態となり、結婚式を無期限延期せざるを得なかったおふたり。それから数年が経ち、車いす姿となったご新郎は、ご新婦と愛らしいお子さんと共に再び私たちの前に姿を現してくれました。事故後、立ち上がることが難しいご新郎は、誓約をチャペル前方の聖壇の階段下で行う予定でした。しかし、どうしても「花嫁が一番美しく見える場所で誓いたい」という強い想いを抱いており、壇上での誓約を切望されました。そのお気持ちを尊重し、私たちはご家族やご友人にサポートをお願いすることをご提案したところ、ご新郎とご新婦は顔を見合わせ、力強く「お願いします!」と答えられました。おふたりの心には、既に確かな決意と覚悟があったのです。

そして迎えた結婚式当日。緊張と期待が入り混じる中、階段を上る瞬間が訪れました。ご新郎が静かに車いすを止め、後ろを振り返ると、そこにはお父様、ご兄弟、そして幼い頃から共に過ごしてきた友人たちの姿がありました。一斉に立ち上がった彼らは、息を合わせて車いすのご新郎を支え、壇上へと運んでいきます。大切な仲間たちの協力を得て、一歩一歩と壇上に近付くご新郎の姿に、会場中の誰もが胸を打たれました。家族の愛、友人たちとの絆、そしてご新郎の強い意志が一つとなり、まさに奇跡のような光景が広がりました。

壇上にたどり着いたご新郎は、ご新婦が待つその場所で静かに呼吸を整えました。車いすから解放され、しっかりと立つことができなくとも、ご新郎の瞳には強い決意と愛情が宿っていました。ご新婦もまた、ご新郎の隣に寄り添い、その手をしっかりと握りしめています。まるで二人で支え合い、乗り越えてきた全ての時間がこの瞬間に凝縮されているかのようでした。

そして誓約の時。「誓います」ご新郎が絞り出すように声を発すると、会場中の視線が二人に集中しました。涙を浮かべるご家族、ハンカチで目元を押さえる友人たち、そして式場のスタッフまでもが感動の涙を流していました。誰もが心からこの瞬間を祝福し、おふたりの新たな門出を見守っていました。

誓約が無事に終わり、拍手が響き渡る中、ご新郎は再びご家族や友人たちに支えられて壇上から降りていきます。ご新婦の隣に座ったその表情は、まるで長い旅路を終えたかのような、安堵と喜びに満ちていました。長く続いたリハビリと、幾度も訪れた挫折の中で、ご新郎は幾度となく心が折れそうになりました。事故直後には、二人で描いていた未来が遠のいていくように感じられ、絶望と悲しみの中で自分を責めた日々もあったことでしょう。しかし、そのたびに支えてくれたのは、変わらずそばにいてくれたご新婦、家族、そして仲間たちの存在でした。励ましの言葉や寄り添う姿勢に支えられ、ご新郎は少しずつ前を向く勇気を取り戻し、今日という日を迎えることができたのです。支え合いながら歩んできた時間の重みと、それを乗り越えた絆の強さが確かに感じられました。

この結婚式は、ご新郎ご新婦だけでなく、すべての参列者にとっても忘れられない一日となりました。人生において、どんな困難が待ち受けていようとも、愛と絆があれば乗り越えられるということを、誰もが実感したことでしょう。新たな家族の始まりに立ち会えたその瞬間、会場全体が感動と温かな想いで満たされました。

チャペルディレクター 宮本

花嫁相談 編集部

花嫁相談 編集部 現役プランナーで構成する花嫁相談編集部。結婚準備を楽しく悩みの解決に役立てていただける記事を配信しています。 ここに無い質問やご相談はお気...

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