Q60 夏に色打掛を着ても良いのでしょうか?
華やかな色打掛を着て、神社で結婚式を挙げるのが夢でした。本当は3月にお式の予定でしたが、事情があって8月に延期に。3月に着るように決めていた衣裳のままでは、さすがに暑くないでしょうか。夏用の打掛というのもあるのですか? 母は黒留袖を着る予定でしたが、こちらも夏用にするべきでしょうか。また、一度決めた衣裳をチェンジすると、キャンセル料のようなものはかかりますか?
夏用の新和装として、オーガンジーなどを使った羽衣のような打掛が出たこともありましたが、最近はあまり見なくなりました。〝夏用の打掛〟という決まったものはありませんけれど、一般的な重厚感のある織りの打掛よりは、染めの友禅のほうが軽やかで、夏らしいといえそうです。地色が青や緑といった、清涼感のある色味も涼し気でおすすめです。
衣裳をチェンジする場合、同じ衣裳店であればキャンセルではないので解約料金がかかることはありませんが、チェンジをする衣裳のほうが料金が高い場合、差額分が追加になります。一度、衣裳店で他の色打掛を見せてもらって金額も含めご検討ください。
お母さまの黒留袖についてですが、きものは季節に応じて着分けるのが習慣で、夏は絽(ろ)や紗(しゃ)、6月と9月は単衣(ひとえ)となっていますが、一般的にお召しになられることの多い、袷(あわせ)の黒留袖の凜としたイメージはなんといっても美しく、夏だからといって絽を着る方はほとんどいません。
また、お母さまが絽を着てしまうとゲストもそれに準じなければならず、実際夏の訪問着をお持ちの方は少ないため、ゲストがきものを着づらくなってしまいます。婚礼で夏物、冬物という約束ごとを厳しく守るのは、一般的には歌舞伎界くらいになりましたので、季節的な心配はしなくてもかまいません。
神社で神前式の場合
神社は建物そのものが有形文化財である場合、釘一本打つことはできないため、クーラーのない神殿も珍しくありません。クーラーなしで打掛は大変だと思うかもしれませんが、神社というのはどこも境内の樹木が大きく、隣接した建物もありませんので、クーラーが必要ないほど涼しいところも多いものです。また、結婚式のキリッとした緊張感のなかでは、花嫁さんは普段のようには暑さ、寒さを感じないようです。
ただ、お支度部屋にもクーラーがないとなるとちょっと辛いので、事前にクーラーの有無の確認を。設置されていない場合は披露宴をおこなうホテルなどで着替えて移動すると安心です。
イラストtocco
\ふたりの一歩をサポート/
この方にお聞きしました。安部トシ子さん
【プロフィール】1983年、南青山にウエディング・プロデュース会社㈱オフィース・マリアージュを設立。花嫁さんにとって結婚式が人生の宝物となるよう39年間サポートし続けているウエディング・プロデューサーの草分け的存在。各種講演やブライダル誌での監修や執筆など幅広く活躍。『25ansウエディング』では35年間花嫁の多様な質問、悩みに答えている。
《書籍紹介》
著書 「安部トシ子の結婚のバイブル」(発行 アシェット婦人画報社、「いい結婚式ってなんだろう」(発行 エイジェイ出版)
監修「育ちが良いと思われる50の習慣」(発行 宝島社)、「大事なところをきちんと押さえる結婚の段取りとしきたり」(発行 マイナビ) 他