父の想い、受け継がれる覚悟

父の想い、受け継がれる覚悟
感動ストーリー100

挙式に携わる私達が目にした、感動レポートをご紹介します。全て実話です。

ご新婦には、大切に想ってくれるお父様がいらっしゃいました。ご新婦が生まれてから20数年間、ずっと一緒に仲良く暮らし、きっとお父様にとってその時間を宝物のように大切にしてきたことと思います。そんな大切な娘が嫁ぐことになり、ご新郎が初めてご新婦の実家に挨拶に訪れたとき、お父様は少し寂しげな表情を浮かべていたそうです。娘を愛する気持ちと、巣立っていくことへの寂しさが入り交じり、言葉にならない複雑な想いがあったのでしょう。

結婚式当日も、お父様はどこか緊張した面持ちで、口数が少ない印象でした。娘の晴れ姿を見る喜びと同時に、もう自分の元から離れていくという寂しさがあったのかもしれません。これまで共に過ごしてきた日々、娘の成長を見守り続けてきた時間がふと思い出され、感慨深い思いに包まれていたのでしょう。

挙式のリハーサルで、心に残るエピソードがありました。バージンロードを一緒に歩くお父様とご新婦。お父様は少しぎこちない足取りでしたが、その手には娘への深い愛情が込められているようでした。そして、バージンロードの途中でご新郎に娘を託す瞬間が訪れました。

お父様は、ご新郎に何も言わず、ご自分の手を差し出しました。その手を握る新郎。お父様の手は、しっかりと強く、ご新郎の手をギュッと握りしめました。その握手に込められていたのは、お父様の想いと、ご新郎への信頼、そして娘を託す覚悟でした。

新郎もまた、同じ強さでお父様の手を握り返しました。その瞬間、新郎の心に決意が生まれたことでしょう。「大切にします」と、声には出さずとも、その握りしめた手にすべての気持ちが込められていました。

そのシーンを目の当たりにした私たちも、深く胸を打たれました。言葉ではなく、ただ手と手で想いを伝える父と新郎の姿。それは、父親としての愛情と、新しい家族としての覚悟が交錯する、まさに感動の瞬間でした。

バージンロードを歩くお父様とご新婦、その後ろ姿には、二人の間に培われた年月の重みが感じられました。そして、エスコートチェンジの瞬間に、新たな家族としての絆が結ばれたのです。お父様が託した想いと、新郎が受け止めた覚悟。そこには、家族への愛情と、未来に向かう強い意志がしっかりと根付いているように感じました。

チャペルの中は静寂に包まれ、しかしその静けさの中に、強く温かい絆が流れていました。新郎がご新婦の手を取り、これから共に歩む新たな道を歩き出す姿。その背中を見つめるお父様の目には、ほんの少しの涙が浮かんでいましたが、その表情はどこか晴れやかで、娘の幸せを願う父親の顔でした。

愛する娘を送り出す父の想いと、それを受け継ぐ新郎の覚悟。この瞬間に立ち会えたことに、心から感謝の気持ちが溢れました。

チャペルディレクター 田中より

花嫁相談 編集部

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