無口なパパとスタッフの大号泣

感動ストーリー100

挙式に携わる私達が目にした、感動レポートをご紹介します。全て実話です。

ご新婦のお父様は、無口で表情も固く、挙式のリハーサル中も一言も発しませんでした。誰もが「もしかしてご新郎との結婚に反対しているのでは?」と心配になるほどの静けさ。会場の空気も少し緊張気味で、お父様の態度がさらにその場の雰囲気を引き締めていました。

挙式の最初に行われるレターセレモニーは、おふたりからゲスト一人ひとりに向けたメッセージが込められたお手紙を同時に読む、感動の瞬間。会場内のゲストが手紙を開封するその時、チャペル外で入場準備をしていたご新婦の親御様にも、同じようにお手紙が手渡されました。

お母様とお父様が静かに手紙を読み進める中、無言で頷くお母様に対して、お父様は相変わらず表情一つ変えず。スタッフたちは「やっぱりまだ反対しているのかも…」と内心ハラハラしながら見守っていました。

実は、ご新婦はこの挙式の直前まで入院していたのです。体調が心配される中、何とかこの日を迎えるために、リハビリや治療を頑張ってきました。そして親御様が手紙を読み終えたそのタイミングで、ご新婦が静かに言いました。「パパと歩くって決めていたから、頑張ったよ!」その一言に、場の空気は一転。何よりも先に涙を流し始めたのは、なんと挙式をサポートしていたスタッフ!「こらえなきゃいけないのに!」と心の中で叫びながらも、もう目から涙がポロポロと止まりません。

それを見た親御様も一瞬戸惑い、でも次の瞬間には「スタッフさんが泣いちゃった」と、お母様がスタッフの背中をさすりながら泣き笑い。そして、お父様もついに涙がこぼれ始めました。あれだけ無口で硬い表情をしていたお父様も、とうとう感情を抑えきれず、何度も何度も涙を拭きながら「今日が迎えられて良かった」と一言。スタッフも含めてその場全員が涙の大洪水。まるで全員で泣くことが義務付けられたような不思議な空気に包まれました。

この感動のシーンに、スタッフたちは「泣き役」を完璧にこなしてしまい、ご新婦が「みんな泣かないで!」と笑顔で声をかけるほどでした。お父様は恥ずかしそうに涙をぬぐいながらも、娘の晴れ姿に満足げな表情を見せていました。これまでの無口な姿からは想像もつかないほど、言葉にできない想いをしっかりと噛みしめているようでした。

チャペルの扉を開け、親御様とご新婦を送り出す時、スタッフの誰もが涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、「おめでとうございます!」と声をかけました。ご新婦とお父様がゆっくりと歩みを進めるたびに、スタッフたちの涙がまた溢れます。お母様が「本当にありがとう」とスタッフに感謝の言葉を伝えた時も、「こちらこそです!」とさらに涙が止まりません。

こうして、幸せな涙と共に挙式が進みました。お父様の無口な表情の裏には、ご新婦への深い愛情と、今日この日を迎えられた喜びがたくさん詰まっていました。ご新婦の言葉が、見守る全員の心に響きわたり、誰もがその場で感動の涙を流しながらも、どこか温かく、笑顔がこぼれるような素敵な一日となったのでした。

チャペルディレクター 田中より

花嫁相談 編集部

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