Q49 父が彼のことをよく思っていない
私の父は彼のことを、あまりよく思ってはいないようです。結婚式の準備をしていても心のどこかにそのことが引っかかっていて、晴れやかな気持ちになれません。心から祝福してもらって結婚式を迎えたいですが、どうしたらいいでしょうか。
結婚を反対する父親
親に結婚を反対されたまま結婚式を迎えるカップルは、どの時代にも少なからずいます。大抵の親は娘が連れてきた男性を、好意的なポイントだけで観ようとはしないもの。特に男親は娘が選んだ男性の欠点が気になるものなんです。それだけ自分の娘が可愛いんですよね。
先日もあなたと同じように、新婦の父親に猛反対されているカップルがいました。打ち合わせの段階で「両家の父から謝辞を述べてもらいたかったのですが、彼女のお父さんは『あいさつなどしたくない』の一点張りで」と、肩を落としていました。
ところがいよいよ結婚式当日。新郎父の謝辞を終えたとき、あれほど反対していた新婦の父親が、突然謝辞を述べたのです。そして最後に新郎をしっかりと見つめ「娘をよろしくお願いします」と深々と頭を下げられました。お父さんの予定外の行動に、花嫁は号泣していました。
このお父さまの行動は「結婚式を挙げてしまったから仕方ない」という諦めの気持ちから出たものとは思えないのです。新郎が時間をかけて自分という人間をわかってもらおうと、努力を重ねてきたからではないでしょうか。
客観的に見つめ直してみること
冷静に考えてほしいのは、親が結婚に難色を示すには相手を忌み嫌っているからではありません。反対する理由があるということ。親というのは見返りを期待したり、報われたくて反対するのではありません。子供の幸福だけを考えているもの。親が自分の損得を考えずに反対することは、ある程度は聞いておいたほうがよいと思います。だからといって「親が気に入らないならやめよう」というのでは、あまりにも主体性がありません。
反対に「私は誰の意見も聞きません!」と意固地になっても解決策は見つからないのです。一度、第三者の立場で、客観的に見つめ直してみることが大切です。親が反対する理由も、十分に理解した上での結婚なら、いつか両親に認めてもらえるようふたりで努力していけばいいのです。 その際に、親が気に入らないと思っている点は改善できるものか、不可能なものかに分けて、よく話し合ってみてください。
例えば「あいつは気配りができないヤツだなあ」などという心象は改善できますよね。改善できるなら、親の苦言をきっかけに、しっかりと気をつけるようにしてください。それはもしかすると、すごくお得なアドバイスかもしれません。何か言われるのが嫌で親から避けているばかりでは何の解決にもなりません。親の苦言を成長できるチャンスと考えれば、ふたり一緒に人生を切り開いていくでしょう。
イラスト tocco
この方にお聞きしました。安部トシ子さん
【プロフィール】1983年、南青山にウエディング・プロデュース会社㈱オフィース・マリアージュを設立。花嫁さんにとって結婚式が人生の宝物となるよう39年間サポートし続けているウエディング・プロデューサーの草分け的存在。各種講演やブライダル誌での監修や執筆など幅広く活躍。『25ansウエディング』では35年間花嫁の多様な質問、悩みに答えている。
《書籍紹介》
著書 「安部トシ子の結婚のバイブル」(発行 アシェット婦人画報社、「いい結婚式ってなんだろう」(発行 エイジェイ出版)
監修「育ちが良いと思われる50の習慣」(発行 宝島社)、「大事なところをきちんと押さえる結婚の段取りとしきたり」(発行 マイナビ) 他