父から新郎へ、愛を託す瞬間

父から新郎へ、愛を託す瞬間
感動ストーリー100

挙式に携わる私達が目にした、感動レポートをご紹介します。全て実話です。

その会場では入場の際に、お父様とご新郎ご新婦それぞれに「今日の結婚式を祝福し、新しく二人で歩むことを誓うためにバージンロードを歩いてこられたのか?」ということを牧師先生が問いかけ、結婚式が開式します。

そんな結婚式のリハーサルでの出来事。ご新婦とお父様は、まだリハーサルということもあり、少しの緊張と楽しみを分かち合い、和やかにお話ししながらバージンロードを入場されました。先に入場し、お父様のエスコートでご入場するご新婦を見守るご新郎。3人が祭壇の前に揃ったところで、リハーサルでは我々スタッフが段取りをお伝えします。

「お父様は『二人の結婚を祝福なさいますか?』の問いかけがありましたら、『はい、祝福します』と答え、ご新婦の右手をご新郎の左手に託してください。」

そうお伝えすると、お父様は「娘とバージンロードを歩くのは私の夢だったけれど、目に見える形でご新郎に手渡すことができるのは、本当に嬉しく、同時に少し寂しい気持ちもあるね」と語り、少し複雑そうな、それでも温かな表情を浮かべながら、「はい、祝福します」とご新婦の手を優しくご新郎へと渡しました。

そんなお父様の本音を聞いたご新婦は、みるみるうちに涙で目が潤みました。これまでの歳月が走馬灯のように蘇ったのでしょう。感情が溢れ出し、思わず涙を流されたのです。その二人の様子を見ていたご新郎は、お父様からご新婦の右手をしっかりと受け取り、「幸せにしますので、安心してください!」と心強く伝えました。その言葉に、お父様は安心された様子で微笑み、静かに頷かれました。

その瞬間、会場には温かな空気が流れ、まるで家族の絆が一つに繋がったかのように感じられました。リハーサルだからこそ語られた、ご新婦のお父様のお気持ち。そして、それを聞いたご新郎ご新婦の反応は、とても心温まるものでした。

お父様の娘への深い愛情と、その愛情をしっかりと受け取り、新しい家族の一員としてご新婦を守るというご新郎の決意。それぞれの思いが交差するその瞬間は、リハーサルであっても、誰もが胸を打たれずにはいられませんでした。

結婚式は、単に誓いを立てる場所ではなく、家族一人一人の思いが交わる大切な時間です。ご新婦とお父様の絆、そしてその絆を新たな形で受け継ぐご新郎の姿は、まさに結婚式の美しさそのものでした。

この日のリハーサルは、まるで本番さながらの感動に満ち、全ての人の心に深く刻まれる瞬間となりました。

チャペルディレクター 髙橋より

花嫁相談 編集部

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