車椅子のお父様と入場

車椅子のお父様と入場
感動ストーリー100

挙式に携わる私達が目にした、感動レポートをご紹介します。全て実話です。

ご新婦のお父様は長い間病気を患い、車椅子での生活を余儀なくされていたそうです。長い療養生活の中で、かつては当たり前のようにできたことが、今では難しくなってしまった現実を受け入れながらも、お父様は懸命に娘の結婚を楽しみにしていました。

その一方で、結婚式の日が近づく中、ご新婦もまた、お父様と一緒にバージンロードを歩くことができないのではないかという不安を抱いていました。それでも、ご新婦の心には「どんな形であっても、お父さんと一緒にバージンロードを歩きたい」という強い願いがありました。そして、結婚式の前日、ご新婦はお父様にこう伝えました。「お父さん、車椅子でもいいから、一緒にバージンロードを歩こう。お父さんと一緒に、ゆっくりでいいから一歩ずつ進んでいきたいの」と。

お父様は一瞬驚いた表情を見せましたが、すぐに涙を浮かべながら「ありがとう」と答えました。その言葉には、病気によって自分ができなくなったことに対する無念さと、そんな自分を受け入れ、共に歩いてくれる娘への深い感謝の気持ちが込められているかのようでした。

そして迎えた結婚式当日。会場の入り口で待つご新婦とお父様の姿がありました。ご新婦は、お父様の車椅子のハンドルを握り、深呼吸をしてから小さな声で「行こうね、お父さん」と優しく声をかけました。お父様は静かにうなずき、その瞬間、会場の全員が二人の姿に注目しました。

ご新婦がゆっくりと車椅子を押しながらバージンロードを進む姿に、会場は静まり返り、その場にいる全員が感動の瞬間を見守っていました。ご新婦は微笑みを浮かべ、時折お父様に目を向けながら、一歩一歩を大切に踏みしめて進んでいきました。お父様もまた、その瞬間瞬間をしっかりと胸に刻みながら、娘と進んでいました。

途中でお父様とご新婦は、ふたりだけで何かを話をされているようでしたが、その姿がとても微笑ましく感じました。お父様の目には涙が浮かんでいました。そして、ご新婦もそんなお父様を見て、涙をこらえきれずに、目から大粒の涙がこぼれ落ちていました。

チャペル全体が感動に包まれ、参列していたゲストたちの多くがハンカチで目元を押さえ、涙を拭っていました。お父様とご新婦がバージンロードを進む姿は、長い年月を共に過ごし、喜びも悲しみも乗り越えてきた親子の深い絆そのものでした。

バージンロードを歩き終え、ご新郎の元に到着した新婦は、お父様の手をしっかりと握りしめてから、ご新郎へと手を差し出しました。その瞬間、お父様の目には再び涙が浮かび、今度はそれを隠すことなく、娘の幸せを願う心からの涙を流しました。

結婚式を通して、お父様とご新婦の間にある深い愛情が会場全体に伝わり、父と娘の絆が一層深まる瞬間に立ち会え、とても幸せな時間でした。

チャペルディレクター  梅田より

花嫁相談 編集部

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