心で見守る結婚式
挙式に携わる私達が目にした、感動レポートをご紹介します。全て実話です。
お打ち合わせの際、ご新婦から「ゲストに挙式中の写真撮影を控えてほしい」という相談を受けました。「一生に一度の大切な結婚式。ゲストにはしっかりと自分たちの挙式を見守ってほしい」という強い願いが込められていました。そこで、式が始まる前にスタッフから「撮影はプロのカメラマンにお任せいただき、皆様はお式の立会人としておふたりの誓いを心から見守ってください」というアナウンスを入れることになりました。
式当日、チャペルは静かな緊張感に包まれていました。いつもであれば、スマートフォンやカメラを手に持ち、瞬間を収めようとするゲストが見られることもありますが、この日、誰一人として撮影する方はいませんでした。ゲスト全員が、静かに、そして真剣にバージンロードを進むご新婦に注目していました。
ご新婦がゆっくりと父親と共にバージンロードを歩む姿に、会場全体が見入ります。お父様としっかりとした足取りで進むご新婦の表情は、感謝と決意に満ちているかのようでした。ご新婦がこの瞬間を迎えるまで、どれだけの時間を経て成長してきたのか、その道のりが胸に迫るものがありました。そして、その先でご新郎が待っていました。ご新婦の姿がご新郎の目に映った瞬間、ご新郎の目には涙が浮かんでいました。
エスコートチェンジの際、ご新郎はお父様としっかりと握手を交わしました。その握手の間にも、ご新郎の目には大粒の涙がこぼれ落ちていました。その涙を目にしたお父様も、目を潤ませながら、懸命に感情を抑えようとする姿がとても印象的でした。長年愛情を注ぎ育ててきた娘を手放す瞬間、父親としての思いが溢れ出しているのが伝わり、会場全体に感動が広がっていきました。
参列者の視線は、カメラやスマートフォン越しではなく、心からの祝福をもっておふたりに注がれていました。式が進むにつれ、チャペル全体が一体感に包まれ、ゲスト一人ひとりの気持ちも、おふたりに寄り添って高まっていくのが感じられました。誓いの言葉を交わし、指輪を交換するその瞬間、おふたりの決意が誰の目にも明らかでした。そして、その瞬間があまりに美しく、感動的で、会場にいる多くの参列者が自然に涙をこぼしていました。
おふたりの誓いをしっかりと見届けるための静かで温かな結婚式。ゲストたちは、心の中に深く刻まれる瞬間を共有し、かけがえのない一日をすごされたことと思います。この日を通じて、おふたりの愛の深さと、それを見守る家族や友人たちの温かな思いが確かに交差し、この瞬間を皆で共有できたことが、本当に幸せな出来事でした。
チャペルディレクター 解良より