クロージングキスのあとに・・
挙式に携わる私達が目にした、感動レポートをご紹介します。全て実話です。
横浜にある式場で、とても元気で明るい新郎新婦の結婚式をアテンドさせていただきました。
この式場には、映画のワンシーンのようにロマンティックな雰囲気が漂う大聖堂があり、当日は新郎新婦の親族、友人、約80名のゲストが集まっていました。海に囲まれ、絶景を一望できる高台に位置するこの大聖堂は、多くの花嫁にとって憧れの舞台でもあります。そんな場所で結婚式を挙げたいと思われた新郎新婦のご紹介です。
式場を初めて見学したとき、その景色と雰囲気に一目惚れし、「ここで結婚式をしたい」と強く思ったそうです。
そんなお二人が、この結婚式でどうしてもやりたかったのが「クロージングハグ」でした。退場の際、扉が閉まる瞬間に交わすハグするという演出です。会場見学時にスタッフからこのアイディアを聞き、ふたりは顔を見合わせて「私たちもやりたいね」と微笑み合ったといいます。その夢を叶える日がついにやって来たのでした。
当日は晴天に恵まれ、海と空が一体となるような美しい風景が広がっていました。大聖堂には祝福の光が差し込み、どこを見ても幸せに包まれた空間でした。新郎新婦はお互いに楽しそうに微笑み合いながら、堂々とした足取りでバージンロードを進み、挙式は順調に進みました。ゲストたちもふたりの晴れ姿に心からの拍手と歓声を送り、祝福ムードが一層高まっていきました。
そして、いよいよ新郎新婦が退場する時間がやってきました。ふたりはしっかりと腕を組み、ゲストの皆様の前で最後の挨拶をし、扉の前に進みます。その瞬間、ふたりは打合せ通り、「クロージングハグ」を行いました。新郎は新婦をしっかりと抱き寄せ、その姿に会場からは大きな歓声が上がります。新婦も新郎の腕の中で嬉しそうに微笑み、まるで映画のようなロマンティックな光景が広がっていました。ゲストたちはその様子に感動し、自然と拍手が沸き起こりました。
その後、扉がゆっくりと閉まる中、私が思わず微笑んでしまった出来事がありました。ふたりがハグを解いた後、まるで息がぴったりと合ったように、新郎新婦はスッと一歩後ろに下がり、お互いに向き合って一礼をしたのです。それだけでも微笑ましい光景でしたが、その後、ふたりはお互いに
「ありがとうございましたっ!」
と、元気な声で掛け合いました。
なんともチャーミングで、お互いを労うようなその姿に、私は新郎新婦のお互いを思いやる気持ちを強く感じました。そして、このふたりならきっと結婚生活も楽しく、幸せに満ちたものになるだろうと確信しました。その息の合った振る舞いから、ふたりがどれだけ深い信頼関係を築いてきたのかが伝わり、これからの人生も支え合って進んでいく姿が目に浮かびました。
チャペルディレクター 田中より