息子への愛情たっぷりのハグ

息子への愛情たっぷりのハグ
感動ストーリー100

挙式に携わる私達が目にした、感動レポートをご紹介します。全て実話です。

結婚式に立ち会っていると、本当にさまざまな方々との出会いがあります。その中でも、特に心に残ったのが、ご新郎のお母様とのエピソードです。お母様は、式場にいらっしゃった瞬間から明るいオーラを放っていて、とても元気な印象でした。周りの人々に対して気遣いを忘れず、笑顔で接している姿がとても印象的でした。そのため、自然とお母様の周りには人が集まり、和やかで楽しそうな雰囲気が広がっていました。

そんなお母様には、挙式で大きな役割がありました。それは、ご新郎の入場時にご新郎にジャケットを着せるという役目を行うことでした。リハーサルの時から、お母様はこの役割をとても楽しんでいる様子で、練習をしながら「嬉しい」と心から思っているのが伝わってきました。息子の成長と、新たな門出を祝うことができ、きっと胸がいっぱいだったことでしょう。

入場前、ご新郎が準備をしている間、私はお母様と一緒にジャケットセレモニーの確認をしていました。お母様はこの瞬間をしっかり行うために、真剣な表情で私たちの説明に耳を傾けていました。しかし、ふとした瞬間にお母様は少し寂しそうな表情を見せて、

「実は、息子にハグをしたいと思っていたの。でも、やめてって言われちゃったのよ」と、ぽつりとおっしゃいました。

その時のお母様の表情には、息子への愛情と、少しばかりの寂しさが滲んでいました。式の一番大事な日に、思いっきり愛情を伝えたいという気持ちがあったのでしょうが、ご新郎がそのため、私はそのお母様の気持ちを見て、少しでも背中を押してあげたいという気持ちになりました。思わず

「たとえ嫌がられても、ハグしちゃいましょうよ!」と声をかけてしまいました。

お母様は一瞬驚いたような表情をされましたが、その後、いたずらっ子のようににっこりと微笑みました。そして、ご新郎との入場の瞬間が近づき、チャペルの扉の前でスタンバイするお二人を見送る時、「行ってらっしゃいませ」とお声がけしました。お母様はその瞬間、私に向かって小さなウィンクをしてくれました。息子に対して少し遊び心を持っているようでした。

チャペルの扉が開き、お母様とご新郎が一緒に歩いて入場していきました。そして、ジャケットを着せる瞬間が訪れました。お母様は落ち着いた手つきで、丁寧にご新郎にジャケットを着せていきました。その姿は、これまでの母としての役割をしっかりと果たすという気持ちが伝わるものでした。そして、その次の瞬間、お母様は新郎に思いっきりハグをしました。新郎は一瞬驚いたようでしたが、その後、照れくさそうに笑顔を見せました。

式が無事に終わり、後からお母様は私のもとにやってきて、「背中を押してくれて本当にありがとう。」とおっしゃってくださいました。その時のお母様の笑顔には、母親としての喜びと達成感が溢れていて、私もとても幸せな気持ちになりました。

チャペルディレクター 宮本より

花嫁相談 編集部

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