家族の一曲
挙式に携わる私達が目にした、感動レポートをご紹介します。全て実話です。
ふたりの個性を大切にした「オリジナルの人前式」を執り行うことに決めたご新郎ご新婦。形式ばった結婚式ではなく、自分たちらしい式を望んでいたおふたりは、セレモニーの進行や会場の装飾、BGMに至るまで、細部にこだわって「ふたりの大切なもの」が伝わるよう、たくさん考えて、ひとつひとつ大切にプランを創り上げていきました。挙式当日、ゲストにも参加をしてもらいながら、まさにおふたりらしい、その場にいる全員が笑顔になるような、明るい挙式を実現させました。大成功で無事におひらきを迎えました。
おふたりは披露宴が始まるまでのひととき、ゲストからの祝福の言葉を受けながら、少しほっとした表情を浮かべていました。会場には笑顔が広がり、久々の親族や親しいご友人との温かい会話が交わされ、和やかな雰囲気が包み込んでいました。
そんな中、ご新郎の親御様がおふたりのもとへ近づいていきました。ご新郎のお母様は一瞬顔をしかめ、おふたりへ「なんで知ってるの?」と不思議そうに尋ねました。ご新郎ご新婦はキョトンとした表情で親御様を見つめ、何が起こったのか理解できずにいました。
再度お母様が問いかけます。「なんで?知ってたの?」今度はその目には涙が浮かんでいました。ご新郎ご新婦はますます混乱し、「何が??」と不思議そうに応えました。すると隣にいたお父様が口を開きます。「曲だよ。君たちが選んだ入場曲。あれは、実はお父さんとお母さんの結婚式でも使った曲なんだ。お母さん、曲が流れた瞬間から泣いてしまってね。」その言葉にご新郎ご新婦は驚き、思わず顔を見合わせました。なんと、彼らが選んだ入場曲は、偶然にも親御様の結婚式で使われた曲と同じだったのです。
世界中には数え切れないほどの曲がありますが、推定では約4億から8億曲が存在するとされているそうです。そんな中、世代も違う親子が偶然同じ曲を結婚式の入場シーンで選ぶなんて!
「そんな偶然ってある?!」「親子ってやっぱりすごいね!」
おふたりと親御様はお互いの目を見つめ合いながら、驚きと喜び、そして感動の気持ちを口々に言葉にしました。
時を超えて、親子の絆を感じさせるその一曲は、おふたりの結婚式を特別なものにし、これからも耳にするたびに思い出しては笑顔になる「家族の一曲」となりました。
チャペルディレクター 富田より