両家ご家族の新たな絆

感動ストーリー100

挙式に携わる私達が目にした、感動レポートをご紹介します。全て実話です。

ご新婦は挙式の打合せ当初から、お父様の体調をとても気遣っていました。ご高齢であり、体力的な不安もあったため、お父様にバージンロードのエスコートを頼まず、ご新郎とふたりで入場することを決めていました。それが、最も安心で無理のない選択だと考えられたからです。お父様もその決断に同意されており、式はその予定通りに進むはずでした。

しかし、挙式当日、開式直前になって思いがけない展開が訪れました。お父様から突然、「やはり娘と一緒にバージンロードを歩きたい」とお申し出があったのです。チャペルでは既に参列者の案内が始まっており、時間的には非常にタイトな状況でした。練習をする余裕はなく、本番でいきなり歩くことになるという、少しハードルの高い挑戦に思えました。

スタッフはすぐにご新婦に確認しました。ご新婦は最初、耳を疑った様子で、「本当に父が歩きたいと言っているの?」と驚かれました。お父様が本当にバージンロードを歩く意思があるのか、そしてリハーサルなしで本番に臨むことに対して、大変心配されている様子で一瞬間がありました。それでも、ご新婦はお父様の想いを尊重し、決断を下すことにしました。

後に分かったことですが、このお父様の決断の背景には、ご新郎のお母様をはじめとするご親族の強い勧めがあったのです。「歩けるなら、娘さんと一緒にバージンロードを歩いたほうがいい」と、多くの方が声をかけてくださり、それが決定打となったのでした。その言葉を受け、お父様は勇気を出して、ご新婦との入場をお願いされたのです。

急遽、チャペル横の控え室で簡単な練習が行われました。時間は限られていましたが、お父様は真剣な表情で歩き方を確認され、本番に臨む準備を整えました。そして、いよいよ式が始まると、少し緊張の面持ちでありながらも、ご新婦の腕をしっかりと取り、バージンロードを一歩一歩進んでいかれました。その光景は、娘を愛し守ってきた父親の誇りと、これから新しい人生を歩み出す娘への深い愛情が溢れる瞬間でした。

式後、お父様は満面の笑みでスタッフに声をかけられました。「ありがとうございました。良かったです。一生の思い出になりました」と、感謝の言葉を何度も繰り返され、その表情には達成感と安堵がにじんでいました。この瞬間が、お父様にとって、そしてご新婦にとっても一生忘れられない思い出となったことは間違いありません。

ご家族の間で事前に十分話し合いが行われ、ご新郎とご新婦おふたりでの入場が最良と判断されたかもしれません。それでも、挙式当日、お父様にはやはり娘と一緒に歩きたいという想いが胸に秘められていたのです。その想いを引き出してくれたのは、ご新郎のお母様や親族の温かい後押しでした。皆さんが、お父様の心の奥にある想いに耳を傾け、後押ししたことで、父と娘の絆がもう一度、バージンロードで深まる瞬間が生まれました。

その温かな瞬間に立ち会えたことは、私たちスタッフにとっても、心に深く残る出来事となりました。人生の節目である結婚式は、ただ新郎新婦が愛を誓い合う場であるだけではなく、家族同士の絆が再確認され、時に新たな絆が生まれる瞬間でもあるのです。このバージンロードでの出来事は、それを象徴するような、心温まる瞬間でした。

チャペルディレクター 末木より

花嫁相談 編集部

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