想いは一つ
挙式に携わる私達が目にした、感動レポートをご紹介します。全て実話です。
訳あって、ご新郎のお母様以外のご親族はご参列が無く、友人のみが集まった人前式でした。チャペル内には新郎新婦を囲む友人たちの温かい笑顔であたたかい雰囲気に包まれていました。
リハーサルは行わず、いよいよ開式の時を迎えました。新郎新婦がゲストの前に立ち、誓いの問いかけが始まります。
問いかけを任されたのは、ご新郎の長年の友人であり、お二人のことを間近で見てきた人物でした。友人は少し緊張した様子でマイクを持ち、新郎新婦に向かって深く一礼しました。そして、心のこもった問いかけをしました。
「これから先、どんな困難があろうとも、お互いを支え合い、幸せを築いていくことを誓いますか?」
友人の声は少し震え、感情がこみ上げているのが伝わってきました。そして、一瞬言葉に詰まると、目元に溜まった涙がこぼれ落ちました。彼はマイクを握り直し、涙をこらえようとしましたが、それがかえって彼の深い感情をより強く伝えるものとなっていました。
「僕たち友人一同、ずっと二人の幸せを見守ってきました…これからも、ずっと。だから、どうか…どんな時もお互いを信じ合って、幸せでいてほしいです。」
友人の言葉に新郎新婦も目に涙を浮かべ、ご新郎は静かに「誓います」と答えました。ご新婦も涙を拭いながら、優しく微笑み「誓います」と返しました。
その瞬間、会場にいた友人たちからもすすり泣きが聞こえ、皆が感動していることがわかりました。ご新郎のお母様も静かに涙を流しながら、心から祝福しているようでした。
問いかけが終わると、会場内には静かな余韻が残り、誰もがその感動に包まれていました。そして、次第に大きな拍手が響き渡ります。その拍手は止むことがなく、まるで新郎新婦の新たな旅立ちを祝福するかのように、温かく、力強く続きました。
「がんばれよ!」「応援してるよ!」といった友人たちの声が拍手の中から聞こえてきて、新郎新婦はそれを聞いて嬉しそうに頷きながら微笑んでいました。その笑顔には、これまでの道のりと、これから始まる新しい生活に対する希望と覚悟が感じられました。
お式に携わったスタッフ一同も、式場のこの温かい雰囲気に心を動かされました。友人たちの心からの応援、そして新郎新婦を囲む深い絆が、式全体を包み込んでいたのです。
この人前式は、新郎新婦だけでなく、全ての参列者の心に深く刻まれる瞬間となりました。
チャペルディレクター 田中より