バージンロード　～親子から家族へ～

挙式に携わる私達が目にした、感動レポートをご紹介します。全て実話です。

いつも明るく元気で、家族や友人に対しても面倒見の良いご新婦。彼女の周りには人が集まり、笑いの絶えない関係を築き上げていました。そんな新婦の晴れ姿を祝いに結婚式にもたくさんのゲストが集まりました。竹を割ったようなサバサバとした性格、結婚式の準備もあまり迷うことなく着々と進められました。また、ご家族も同様に明るく、お衣装合わせも家族の仲の良さがうかがえる、にぎやかな時間でした。お父様はスタッフにも冗談をとばすような明るい方。まさに父娘ともに周りを明るくするムードメーカーでした。

結婚式当日、リハーサルでも歩き方の練習をしながら冗談を言い合う父と娘。「お父様は前まで到着されましたら、ご新婦の手をとり、ご新郎へとお渡しください。」「わかりました！」とニコニコとエスコートチェンジの練習も完璧でした。

そして本番、大勢のゲストに見守られながら、お父様とご新婦は共に胸を張って堂々と入場されました。美しく凛としたドレス姿、長いバージンロードを歩き、ご新郎のもとへと辿り着きます。皆の視線が集まる中、ご新婦は大切に育てられたお父様のもとから、これからの人生を共に歩むご新郎へとエスコートが変わろうとするその時でした。ご新婦はお父様の腕に絡めた手をそっと解き、突然お父様に手を伸ばし「ありがとう！」と深く抱きつかれました。これまで明るくひょうきんなお父様でしたが、突然の花嫁姿の愛娘からの抱擁に、きっとずっと我慢していたのでしょう、嗚咽をあげ、男泣きされたのです。

周りを大切にするご新婦。当然ご家族の事もよく知っているゲストが多く、普段見ない涙をこらえきれない父娘の姿に、ゲストも皆、涙されていました。その後、ご新郎は「彼女と彼女が大切にしている家族を僕も大切にします」と告げ、お父様から花嫁の手を譲り受け、皆の祝福を受けながら、結婚式は無事執り行われました。

結婚式のあと、参列した皆から「涙が止まらなかった」と声をかけられたご新婦は、「父と歩く中、この感謝の気持ちをどうしても伝えたい。今しかない。と思った。」と自然に手が伸びたとお話しされていました。

そして誓いのとおり、ご新婦の事もご新婦の家族の事も大切にしているご新郎。ご新婦のご家族もご新郎の事を「家族が一人増えた」と大歓迎され、笑いの絶えない家族の仲間入りをされているそうです。

チャペルディレクター 富田より