親御様に手話で伝える挙式

感動ストーリー100

挙式に携わる私達が目にした、感動レポートをご紹介します。全て実話です。

ある日、挙式の打ち合わせでご新郎から真剣な相談を受けました。「自分の両親は耳が聞こえないのですが、牧師先生のお話をしっかりと理解したいと言っています。何か良い方法はありますか?」と。いつもは手話で会話されているという親御様は、挙式を心から楽しみにされており、キリスト教式の意味をしっかりと理解したいと強く願っているとのことでした。私たちは、その想いに応えたいと強く感じました。

ご新郎の相談を受けてすぐに対応を検討し、当日は親御様が親しくされている手話通訳の方に来ていただくことに決まりました。ご両親が安心してご覧いただける環境を整えるため、手話通訳者の位置をどうするかが重要なポイントになりました。しかし、ただ手話通訳者を見るのではなく、おふたりの姿もきちんと見届けたい、というご両親の想いを考えると、その立ち位置には慎重な配慮が必要でした。

チャペルの中には撮影を行うカメラマンや、挙式の進行をスムーズにし、ご新郎ご新婦の所作が美しく見えるようサポートするチャペルアテンダーが常に動いています。そのため、手話通訳者と親御様の視線が途切れないように、どの位置に立てばよいか、慎重に検討を重ねました。特にご新郎ご新婦のお姿と牧師先生のお話の両方がしっかりと見える位置に、手話通訳者を配置することが理想でした。

リハーサルではスタッフ全員で挙式の流れを確認し、カメラマンやアテンダーの動きを調整しながら、親御様が視線を遮られることのないよう細心の注意を払いました。手話通訳者の方には、ご両親が牧師先生の言葉を受け取れるように、通訳するタイミングも事前に確認していただきました。会場全体の動きを把握し、通訳者が視線をさえぎられず、そしてご新郎ご新婦の大切な姿が見えるように万全の体制を整えました。

いよいよ挙式当日。スタッフ一同、細かく立ち位置を確認し、通訳者の方も慣れた手つきで手話を行いながら、親御様の表情を見守りました。ご新郎ご新婦の誓いの言葉や指輪の交換など、すべての所作が丁寧に通訳され、親御様の目にはしっかりとその姿が映し出されていました。親御様はその瞬間、目を輝かせながらおふたりを見守り、手話通訳者の動きを目で追っては笑顔を浮かべていました。

挙式後、ご両親から「素晴らしい式でした。手話でこんなにしっかりと内容を理解できるなんて感激しました」とのお言葉をいただき、スタッフ一同胸が熱くなりました。手話通訳者の方も「親御様が喜んでくれて本当によかったです」と笑顔で応えてくださり、私たちも心から安堵しました。

親御様の想いに応えることができた喜びは、スタッフ全員の大きな励みとなりました。そして、この経験を通じて、私たちは次にお会いする時には手話でご挨拶ができるようにと決意しました。現在、スタッフ間で手話の練習を始めており、少しでも親御様の気持ちに寄り添えるよう努めています。挙式は親御様にとっても大切な家族の記憶です。その思いをしっかりと受け止め、支えることができたことは、私たちにとってもかけがえのない経験となりました。

チャペルディレクター 甲斐より

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