亡き友人のための特別な席

亡き友人のための特別な席
感動ストーリー100

挙式に携わる私達が目にした、感動レポートをご紹介します。全て実話です。

結婚式という特別な日には、多くの人が様々な思いを抱えながら参加されますが、この日は特に心に残るシーンがありました。

ご新郎ご新婦にとって、大切な存在だった友人がいました。その友人は、まだご新郎ご新婦が交際を始めたばかりの頃から二人を温かく見守り、いつも「お前たちは絶対に幸せになれる」と、結婚を心から楽しみにしていました。

しかし、数年前にその友人は不慮の事故により突然この世を去ってしまいました。あまりに突然の別れに、二人は深い悲しみに暮れましたが、友人の想いを胸に抱き、時が経つにつれてその悲しみを少しずつ乗り越え、今日の結婚式を迎えることとなりました。

結婚式当日、二人は友人がそこにいないことに改めて胸が締め付けられる思いだったそうです。特にご新郎にとっては、その友人と共にこの日を迎えたかったという強い思いがありました。二人は、友人の存在をどうしても感じたく、結婚式に特別な形で彼を迎え入れることを決めました。それは、友人のために一つの席を用意するというものでした。

挙式会場の最前列、バージンロードのすぐ隣に、友人の写真と彼が好きだった白い花を飾り、空席が設けられました。その席は、あたかも彼がまだ生きていて、今日という日を共に祝ってくれるかのような特別な空間となっていました。

式が進む中、ご新郎ご新婦はたびたびその空席に視線を向け、そこに友人の存在を感じているようでした。誓いの言葉を交わす瞬間、ふとご新郎がその席に目を向けると、まるで友人がそっと微笑んで彼を見守っているかのように感じたそうです。ご新婦もまた、その瞬間に涙を浮かべながら、友人との思い出を胸に感じていました。まるで彼が彼らの幸せを天から祝福しているかのようでした。

参列のゲストも、その空席の存在に気付き始め、会場全体が静かな感動に包まれていきました。友人のために設けられたその席は、単なる空席ではなく、彼の想いがそこにあり、なお二人の人生に寄り添っていることを象徴するものでした。

式が終わりに近づくと、ご新郎ご新婦はその席に最後の挨拶をしました。ご新郎が静かに友人の写真に微笑みかけながら「ありがとう」と口にする姿に、参列者たちも深い感動を覚えました。そして、ご新婦も「見守ってくれてありがとう、私たちは幸せになります」と声をかけ、静かに涙を流しました。

チャペルディレクター 髙橋より

花嫁相談 編集部

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