おばあ様の想い
挙式に携わる私達が目にした、感動レポートをご紹介します。全て実話です。
結婚式の打合せ中、新郎新婦からご相談がありました。
「新郎側の親族がどなたも出席できないのです」と。
新婦側も限られたお身内だけの参加になるとのことでした。それでも、お二人にとって結婚式は大切な夢。何があっても二人の誓いを交わし、これまでお世話になった方々へ感謝を込めてお披露目したいという強い想いをお持ちでした。事情はあまり深くお聞きしませんでしたが、お二人の決意を感じ、私たちスタッフも精一杯サポートをさせていただきました。
準備は順調に進み、ついに結婚式当日を迎えました。
チャペルにはオルガンの迎賓曲が響き、新郎新婦の特別な日が幕を開けました。しかし、新郎側の席には誰もおらず、少し寂しさを感じさせる空気が漂っていました。新婦側も親族のみで、列席者は限られていましたが、そんな中、ひときわ優しい眼差しでお二人を見守る存在がありました。それは、新婦のおばあ様でした。体調が万全ではなく、車椅子での参加でしたが、どうしてもこの特別な瞬間を見届けたいと、チャペルの最前列に座られました。
挙式が始まると、温かな雰囲気が会場を包み込みました。新郎新婦が互いに誓いの言葉を交わすと、おばあ様の目には涙が浮かんでいました。その表情は、喜びと感動に溢れており、これまでのお二人との思い出や、ここまでの道のりがよみがえっているかのようでした。ご新婦は幼少期からおばあ様に特にかわいがられて育ち、おばあ様もご新婦の晴れ姿を見ることが人生での大きな喜びであったことでしょう。退場するお二人を、微笑みながら見送るおばあ様。その瞬間、誰もがその家族の絆と温かさを感じることができました。
挙式後、フラワーシャワーのご案内をしようとおばあ様に声をかけた時、おばあ様は涙が止まらず、号泣されていました。まさに感極まった様子で、車椅子に移動するどころではありませんでした。私たちはその感動の瞬間をそっと見守り、おばあ様が落ち着かれるのを待ってから、ゆっくりとフラワーシャワーの会場へご案内しました。
おばあ様にとっても、お二人にとっても、この日は待ちに待った特別な日だったのです。その涙には、深い愛情と、ここまでの長い道のりが詰まっていました。新郎新婦が参列者の祝福の中を歩み去る姿を、おばあ様は目を潤ませながら、心からの祝福を贈っていました。この挙式は、温かいものであるかを感じさせる、感動的なひと時でした。
チャペルディレクター 末木より