リングボーイの勇気

リングボーイの勇気
感動ストーリー100

挙式に携わる私達が目にした、感動レポートをご紹介します。全て実話です。

挙式の打ち合わせで、ご新婦より希望があり、「リングボーイを甥にやってもらいたい」というものでした。ご新婦のお姉様のお子様で、小学校1年生になったばかりの7歳の元気いっぱいな男の子。甥っ子くんとは、実家にもよく遊びに来たり、一緒にショッピングモールへ出かけたり、夏にはプールに行ったりと、まるで自分の子供のように一緒に過ごしてきたそうです。

ある日、ご新婦は甥っ子くんにお願いをされたそうです。

「結婚式で指輪を運んでくれない?」

まだ幼い甥っ子くんにとっても、何か特別な役割を任されるというのは嬉しいことだったのでしょう。彼は「いいよー!」と元気に答えたそうです。

その瞬間、二人の間に交わされた約束には、大きな信頼と愛情が込められていたことでしょう。

それからというもの、甥っ子くんは家で「リングボーイ」の練習を始めたそうです。家族もその姿を微笑ましく見守り、彼が持つリングピローをしっかりと抱えながら歩く様子を、皆で応援していたそうです。彼にとって、これは単なる「役目」ではなく、大好きな〇〇ちゃんのための「大事な仕事」。きっとそんな風に思われたことでしょう。

そして迎えた挙式当日。7歳のリングボーイは、黒のスーツに身を包み、髪をきちんと整えられていて、その姿はまるで小さな紳士。リハーサルも問題なく進み、彼は自信を持って自分の役割を果たそうと、誇らしげな顔をしていました。いよいよ新郎新婦の誓約が終わり、リングボーイの出番が近づいてきました。その時、リングボーイ君と一緒に待機していると、彼は自分の手の中にあるリングピローをじっと見つめ、何やら小さな声で呟き始めたのです。

「この手の中には未来が握られている!だから一年生の僕はがんばるんだ!」

この言葉には、周囲にいたスタッフ一同が驚きました。その言葉がどこかで聞いたセリフなのか、彼自身が考えたオリジナルの言葉なのかは分かりませんが、その幼さの中に潜む大きな決意を感じ、私たちスタッフも胸が熱くなりました。

この結婚式が行われたのは、ちょうどコロナ禍の時期でした。新郎新婦は共に医療従事者であり、忙しい日々の中で準備を進めていました。しかし、感染拡大を懸念して、披露宴を開催することは叶わず、挙式のみとなりました。

この日、7歳のリングボーイは確かに「未来を握っていた」のかもしれません。その小さな手の中には、新郎新婦の新たなスタート、そして自分自身の未来が詰まっていたのでしょう。コロナ禍という困難な時期にあっても、家族の絆と愛情は強く、新しい未来への希望に満ちていました。

チャペルで見せた小さな勇者の笑顔は、私たちスタッフの心にもいつまでも刻まれるでしょう。

チャペルディレクター 末木より

花嫁相談 編集部

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